「カタログに50tonと書いてあるのに、なんか弱い気がする」
「油圧の設定を上げたら加圧力が変わった。どういう関係になっているのか知りたい」
「シリンダーを大きくすれば、同じ圧力でより大きな力が出せるのか?」
こうした疑問は、ホットプレス機を使う現場では珍しくありません。答えは計算式で出せます。難しくはありません。この記事で一度理解しておくと、機械選定・圧力設定・トラブル対応で迷わなくなります。
まず単位を整理する
油圧の世界では、圧力の単位として MPa(メガパスカル) と kgf/cm²(キログラム重毎平方センチメートル) が混在しています。古い機械の設定盤や仕様書には kgf/cm² が使われていることも多く、換算できると便利です。
🔄 単位換算(早見)
1 MPa ≈ 10 kgf/cm²(正確には 10.2)
1 kgf/cm² ≈ 0.1 MPa
実務では「MPaの数字に10をかける」で十分な精度が得られます。
例:21 MPa → 約210 kgf/cm² / 16 MPa → 約160 kgf/cm²
| MPa | kgf/cm²(×10の目安) | kgf/cm²(正確値) |
|---|---|---|
| 7 MPa | 約70 | 71.4 |
| 14 MPa | 約140 | 142.8 |
| 16 MPa | 約160 | 163.2 |
| 21 MPa | 約210 | 214.1 |
加圧力の計算式
シリンダーが発生する加圧力は、「圧力 × シリンダーの受圧面積」 で求められます。
📐 基本計算式(3ステップ)
① 受圧面積(cm²)= π × (直径 ÷ 2)²
② 圧力を kgf/cm² に換算(MPa × 10)
③ 加圧力(kgf)= kgf/cm² × 受圧面積
直径はミリメートルをセンチメートルに直してから計算します(÷10)。
加圧力をトンに換算するには ÷1,000 します(1 ton = 1,000 kgf)。
例題で確認する
例題①:φ200mm のシリンダーで 50 ton の推力を出したい。油圧の設定は?
Q. シリンダー径 φ200mm で 50 ton の加圧力を出すには、油圧を何 MPa に設定すればよいか。
① 直径 200mm → 20cm 受圧面積 = π × 10² ≒ 314 cm²
② 50 ton = 50,000 kgf
③ 必要圧力 = 50,000 ÷ 314 ≒ 159 kgf/cm²
④ MPa に戻す:159 ÷ 10 ≒ 約 16 MPa
→ 油圧を約 16 MPa に設定すれば 50 ton が出る
例題②:φ250mm のシリンダー、油圧 12 MPa のとき加圧力は?
Q. シリンダー径 φ250mm、油圧設定 12 MPa のとき、加圧力は何 ton か。
① 直径 250mm → 25cm 受圧面積 = π × 12.5² ≒ 491 cm²
② 12 MPa × 10 = 120 kgf/cm²(目安) / 正確には 12 × 10.2 = 122 kgf/cm²
③ 加圧力 = 120 × 491 ≒ 58,920 kgf(目安) / 正確には 122 × 491 ≒ 59,900 kgf
④ ton 換算:58,920 ÷ 1,000 ≒ 約 59〜60 ton
→ 約 59〜60 ton の加圧力が出ている
カタログの「○○ton」は条件付き
プレス機のカタログに書かれている最大トン数は、「最大設定圧をかけたときの理論値」 です。いくつかの前提が隠れています。
- 最大設定圧での値:実際の現場では、ワークや金型への負荷を考えて最大圧よりも低い圧力で使うことが多い。そのときの加圧力はカタログ値より小さくなる
- シリンダー本数:多段プレス機のように複数シリンダーが直列になっている場合は、シリンダー1本あたりの力が合算されたり、逆に分散されたりする構造もある
- 機械損失:配管の摩擦抵抗・弁の圧力降下などが加わると、シリンダーに届く圧力は設定値よりわずかに下がる
「カタログには50tonとあるのに、なんか弱い気がする」という感覚は間違っていません。実際の使用条件では、カタログ値の6〜8割程度で使われていることがほとんどです。
📋 この記事のまとめ
- 1 MPa ≈ 10 kgf/cm²。実務では「MPa × 10」でおおよその値を掴める
- 加圧力(kgf)= 圧力(kgf/cm²)× 受圧面積(cm²)
- φ200mm・16 MPa → 約 50 ton / φ250mm・12 MPa → 約 59〜60 ton
- カタログのトン数は最大設定圧での理論値。実際の加圧力は使用圧・シリンダー構造によって変わる
「今の設定で実際に何 ton 出ているか確認したい」「設備選定にあたって加圧力の計算をしたい」——こうした場面でも、ZeroPressは設計者の立場から数字を一緒に確認できます。お気軽にご相談ください。